どうやって発達を見立てるの?

前回のブログでは、発達の基本「発達ってなぁに?」をお伝えしました。

発達しているかどうか?具体的にはどんなこと?

今回は、発達を見るためのポイント4つをお伝えしていきたいと思います。
育児書を見ても、多くの情報は「何歳になったら、何をクリアしているか」が目安になっていると思います。例えばこんな事柄ですね。

  • 「3か月頃には首が座る」
  • 「5か月頃には寝返りする」
  • 「9か月頃にはハイハイする」
  • 「1歳頃には立つ」
  • 「1歳半頃には言葉が出る」
秋田市母子手帳(9~10ヶ月頃)

ここに何の問題もないのに、
「集中力なさすぎる」「なかなか寝ない」「おむつがはずれない」「偏食がひどい」「落ち着かない」「飽きっぽい」・・・・
このような悩みは尽きません。私も2人子育てしたからわかります。

まずは、一般的に何歳でどんなことができるんだろう?ということが分かっていた方がよいでしょう。
でも、何かが「あれ?」と思った時、その子自身の発達を見ることが大事です。

その子自身の発達って何でしょう?
その発達の視点は、「心の発達」と「体の発達」を組み合わせてみるということです。

乳幼児期は、地球上で生き残れる生物としての本能を育てる時期です。そこをなくして、大人に早く近づけて2本足で早く立たせようとか、天才児になるように教育しようと考えても無理なことです。

まず、子どもの発達を見るうえで大事な点はこれから紹介する4点です。

①呼吸することができているか

こんな風に言うと、呼吸してないと死んじゃうでしょ。
呼吸してるの当たり前じゃんとも思うかもしれません。

呼吸をする第一の器官はどこかと言えば、まずは鼻です。それと口でも呼吸できます。
『口の呼吸』と『鼻の呼吸』両方ともできていますか?

呼吸の育ちは、生まれて泣くところから始まります。そして、おっぱいを吸いながら成長します。
おっぱいを吸う時期は世界の国々にでは経済事情もあって平均は4歳くらいだそうですが、WHOは少なくても2歳くらいまでは推奨しています。

おっぱいを吸いながら、ハイハイをしていくことで、首を上げてしっかり吸い込むことで肺の周りの筋肉はが発達します。肺は筋肉でできていないのに動く臓器です。肺を動かすには、周りの多くの筋肉で動きます。

そして、この筋肉は自律神経の刺激と結びついています。腹式呼吸はゆっくり落ち着いた気持ちにさせるセロトニンを分泌させます。また、胸式呼吸はアドレナリンを分泌させてしゃっきりした気持ちにさせます。朝のラジオ体操は「大きく胸を広げて」息を吸いますよね。

育ちの中で、「ゆっくり腹まで息が通ると気持ちが落ち着く体験」を獲得しているでしょうか。

落ち着かない子どもの中に、呼吸が育っていない子どもがいます。特に肺の機能が悪くなくても肺の機能が育っていない子は自ら動き回って「ハーハー、フーフー」と肺を大きく動かしているのです。子どもは自ら動き回ることで、自ら生きるために成長させる動きをします。意識的ではありませんが、子どもの動きは自分を発達させようとする目的を持っています。大人はその子は自分の何を発達させようとしているのか観察しましょう。大人の社会にあった価値観だけを当てはめて、動き回ろうとする子をただ止めようとするのでなく、じいっとどんな動きをしているのか観察してみることが大事です。 

口でふーっと息を吹くことができないのに、「お鼻をふーんとして」と言ってもそれはできません。鼻と口の呼吸ができているように育っているでしょうか。特に鼻呼吸をチェックしましょう。

②水を飲んで排出すること

身体の水は回っていますか?

これもハイハイという動作と大きく関係しています。赤ちゃんが動き出してはいはいする時、腰の周りの筋肉が発達します。赤ちゃんを観察すると、お座りから骨盤を上手に移動させて方向転換をします。その自由自在で早いこと早いこと。

歩く前のこの赤ちゃんの動きはおしっこにも関係しています。人にとって、水は生きるのに必要不可欠なものです。せせらぎや波の音を聞くとα波がでて、心が休まるのは教育の成果ではありません。水は人にとってなくてはならないものとわかる本能です。「水を飲むとおいしい。おしっこをすると気持ちいい」これを奪う教育は避けたいものです。水がうまく体内で循環していない子は、過剰な水遊びをします。

子どもはだれでも、プール遊びや水遊びは大好きですが、、

特に、おしっこがうまく出ない子は、ホースでジャージャーいつまでも大量の水を流し続けたりします。公園の水飲み場の水をじゃぶじゃぶだしたりして楽しんでいます。

時々、「うちの水道料金は子どものお風呂などの水遊びのせいなの。どうしたらやめるだろうか?」という相談を受けます。「もう少し大きくなったらそのうちやめるよと言われるんですが」とのことです。そういう子のおしっこの状況を聞くと、おむつは取れていても、少し漏らす。おしっこの切れが悪いという状況がわかります。

また、座っていてやたらとおしりを動かしたりするという状況もよく見られます。「おしっこにいきたいの?」というと、「違う」と言うので、「静かに座っていなさい」と注意しがちです。

でも、それも子どもは自分で骨盤周りの筋肉を発達するために動かしています。もちろん、無意識です。この動きが落ち着きない、いつももぞもぞしている、集中力がないと思われることがあります。

呼吸の観察と同じように、子どもの動きに理由のない動きはありません。単なる好奇心の塊だというだけでなく、自らの力で地球に生きる生物として成長しようとする動きがたくさんあります。

③食べること

次は食べることです。

食べることによって成長するしエネルギーをつくるだから、バランスよく、いかに食べてもらうかということは大事なことです。そして、『食べること』で大事な心理的な側面にも注目することが必要です。食べることは欲を満たす大事な人の発達です。

食べるという行為を考えてみると、食べることは自分の意志で外部のものを自分の内部に取り入れるという行為です。心理的には、意志を持って外界のものを内界に取り入れる作という行為になります。機械のようにエネルギーの補充をいかにするかだけ考えていると、その子自身が見えなくなってしまいます。食べることでその子の性格傾向や心の発達を見ることができます。

「食べ方」「食べる速度」「好みの味」は子どもの性格を知る大きな手掛かりです。むら食いの子は食べ物だけでなく、全体的な行動にむらがありませんか。ゆっくり食べる子は、行動面においてもゆっくりではありませんか。早食いでむせ返ってしまう子、小食で飲み込みは遅いけど、一度腹に入れればしっかり飲み込む子などなど。この子ってどんな子?と思って観察しましょう。

食べ方と性格は共通しています。そして、元気がなくなっていくと、食べ方や食べる速度も変わります。「好き嫌いをなくそう」という前に「子どもの好き嫌いを知ろう」「子どもの食べる特徴を知ろう」が、子どもの発達を見ていくうえでのものさしになります。

④手足・足指の使い方をみてみよう

ヒトは、生まれてからほかの動物のように立って歩くこともできないし、食べるまでに時間がかかってなんの力も持たない弱々しい生き物と思われがちです。子宮の中で赤ちゃんが羊水の中で育つように、ヒトは生物の進化を通じてヒトになります。

地球上に生み出されてから、ごろごろ転がって動き出し、手と足を使って前進する。そして、2本足で立ち上がって歩みだす。このための能力がセットされています。

それが、赤ちゃんがセットされて生まれてくる『原始反射』と呼ばれる数々の動きです。

まず、手は「にぎにぎ」から始まります。

この力は新生児に鉄棒につかまらせると自分の体重を支えるだけの力を持っています。心理学の教科書に写真が載っていて「自分の子にはできない実験だな」と思ったことがありました。この時は単に原始反射というものがあるというだけの理解でしたが、実は、この手をつなぐ力に、心理的に生まれ持つ人とつながる力も示されているとも考えられます。

手は、離れているものを物理的に自分に引き寄せるという力を持っています。手は物を引き寄せるだけでなく、ヒトとつながる力でもあると考えるのは、世界中の人々はだれかとつながる時に、頭をくっつけたり、足をくっつけたりはしませんよね。手を握るところから近づきます。手は人とつながる時は握り合うし、人を寄せ付けたくない感情の怒りはぐっとこぶしを握り、他者を寄せ付けません。祈りのように静かに自分の内界に向かう時、手を閉じます。手にはいろいろな働きや役割がありますね。

手の指一つ一つにも役割があります。人を指さすときに、小指や薬指をさす人がいるでしょうか。こうしてみると、手の心理的な役割はまだまだ深くあります。この手のつながる力が弱い時、言葉の遅れが出たり、人とのコミュニケーションがうまくいかなかったりする場合も出てきます。もちろん、原因を手だけに特定はできませんが、言葉の発達は手の握りを見ることも大事です。

同様に、足も足としての心理的役割があります。2本足で歩く人間は全体重を足で支え、地球を踏みしめて生きていきます。ですから、足の着き方はその子の地球の上に立つ存在感と大きく関係しています。

つま先だけで歩いている子、緊張すると、足の外側だけついている子、親指だけ上がる子、これらは、足の原始反射にも関係しています。足指をしっかり使えているか、かかとを使えているかなどなど、見るべきポイントはたくさんあります。

今回は大きなこの4点を紹介しましたが、これから、まだまだ身体で見るポイントや身体と心を見るポイントはたくさんあります。一つずつ詳しくお知らせしていきます。

この体の動きと発達心理とともに、自律神経と脳内神経物質についても発信します。

どうぞ、お楽しみに。